欧州市場向けEVスクーターを開発中?

スクーター オフ 投稿者: SLlov7uk

開発の背景と発表概要

2025年1月、インド・ニューデリーで開催されたBharat Mobility Global Expo 2025で、スズキは二輪分野初の世界戦略EVスクーター「e-ACCESS」(グローバル名 e-ADDRESS)を公開しました。同社は電動化比率が高まる欧州市場を主要ターゲットに掲げ、インドで量産した車両を2025年末から欧州へ輸出する計画です。合成燃料やバイオ燃料なども視野に入れた多面的なカーボンニュートラル戦略も合わせて示されました。

モデル概要と主なスペック

  • バッテリー リン酸鉄系リチウムイオン 3.07 kWh(固定式)
  • 最高出力 4.1 kW
  • 最大トルク 15 N・m
  • 最高速度 71 km/h
  • 航続距離 95 km(社内測定値)
  • 充電時間 ポータブル充電器で約6時間40分、急速充電器で約2時間10分
  • 装備重量 122 kg
  • シート下収納 17 L
  • カラーバリエーション ブラック/レッド、ホワイト/グレー、ジェイドグリーン/グレー
  • 現地価格 8万1700ルピー(約15万円、インド参考価格)

車体はスクーター「ADDRESS」譲りのコンパクトさと低シート高765 mmを備え、リバースモードや回生ブレーキ、キーを持ったまま操作できるマルチファンクションスタータースイッチなど実用装備が充実しています。メーターはカラーTFTを採用し、スマートフォン連携アプリ「Suzuki Ride Connect-E」でナビや交通情報を表示できます。

欧州市場での位置付けと戦略

スズキ英国法人のマーケティングディレクターは、バッテリーEVは小排気量モビリティの有効な手段であると述べ、e-ADDRESSの欧州投入を年内に正式発表する意向を示しました。都市部での環境規制やゼロエミッションゾーンの拡大を背景に、同社は低価格でも航続と実用性を両立したモデルで市場を開拓し、2030年までに欧州向け二輪EVを複数展開する方針です。

続く課題と今後の展望

欧州では家庭用電源による夜間充電は進んでいるものの、集合住宅向けの公共充電スタンドは十分とはいえません。スズキは固定式バッテリーでコストと防水性を確保しつつ、短時間充電を可能にする急速充電ネットワークの拡充にも協力するとしています。また、同社はより高出力な電動モーターサイクルや着脱式バッテリーを使ったシェアリング事業への参入も検討しており、e-ADDRESSはその第一歩と位置づけられています。

e-ADDRESSは、軽量コンパクトなスクーターの利便性とEVならではの静粛性・低維持費を兼ね備え、欧州ユーザーの日常移動を支える存在を目指しています。スズキが培ってきた走る・曲がる・止まるの基本性能に、アプリ連携やキー操作の簡略化など現代的な装備を加えた本モデルは、同社二輪電動化戦略の象徴として注目されます。